こんにちは、こころの樹利用者のR.Hです。
今回のブログでは、11月11日にこころの樹の本郷畑で行った一斉収穫の様子を綴ろうと思います。
来年、田んぼにするための準備として、本郷畑で育てていた野菜をすべて収穫しました。
当日はこころの樹穂高に通所していた利用者と職員、合わせて10名総出で収穫に向かいました。
本郷畑では、九条ネギ、里芋、サツマイモを収穫しました。

今年から運用を始めた本郷畑は、いわば実験的な畑です。
夏の頃は雑草の勢いが非常に強く、畑全体が草に覆われていました。
特に水を多く必要とする里芋やサツマイモにとっては、やや厳しい環境だったと思います。
それでも秋が深まるにつれ草刈りを進めたことで、徐々に畑の形が見えるようになり、畑らしさを感じられるようになりました。
10月末には、皆でビーバー(エンジン草刈り機)や鎌を使って草刈りを行い、整った畑の姿を見ると、夏の頃との変化に改めて驚きました。
今回、自分は九条ネギの収穫担当でした。
九条ネギは京都の伝統野菜のひとつで、柔らかく香りがよいのが特徴です。
収穫前に畑で九条ネギを見た時、葉が細く柔らかく、青い部分が長く伸びている九条ネギらしい姿が印象的でした。
風に揺れるとツヤがあり、株元も土寄せの効果でしっかり太さが出ていました。
全体的に生育状態がよく、葉先までスッと伸びていて健康に育っている印象を受けました。
本郷畑では、8月中に植え替えを行い、10月中に草取り、土寄せをしました。
この丁寧な作業の積み重ねが、立派に育ったネギの姿につながったのだと思います。
収穫の際は、根を傷めないように注意しながら、スコップを使って慎重に掘り上げました。

最初は土が固くてなかなか掘れず、小さいスコップのうちの一本が土の圧力で曲がってしまい、使い物にならなくなってしまうというハプニングもありましたが、徐々にコツをつかんでからはスムーズに進みました。

掘り出したネギは根についた土を軽く落とし、段ボール2箱分にぎっしり詰めました。
最初は畝いっぱいに広がっていたネギが、気づけば段ボール2箱分として形になり、それを見た時、収穫をやり終えたという達成感がありました。
またネギの青々とした香りがとても印象的でした。

他の班では、里芋とサツマイモの収穫を行いました。
まず里芋は 剣先スコップ(通称・剣スコ)で茎から20cmほど離れた位置に挿し込み、てこの要領で押し下げて掘り起こす方法 で収穫しました。

芋によって収量に差があり、親芋に5~6個付いていたものもあれば、2個ほどしか付いていないものもありました。
また、昨年収穫した種芋を西隣の畝に植えた区画では成長がほとんど見られず、掘ってみても小さい芋が1個取れる程度でした。

一方、サツマイモの収穫班では、まずフォークで畝の周りの土をほぐし、そのあとまんのうぐわ(万能鍬)で掘り起こす作業を行いました。
畝から少しそれた場所にも芋が伸びていたため、つるをたどりながら慎重に掘り進め、芋を傷付けないように注意しました。
けれど思いもよらない場所に芋があり、つい傷付けてしまった芋もありました。
つるは細めで、全体的にあまり伸びていない印象でした。
そのため、収穫できたサツマイモはやや小ぶりで数も少なめでしたが、固い土の中でしっかりと育っていた姿を見ると、環境の厳しさの中でもよく頑張ってくれたと思いました。

収穫した里芋は、まず鎌を使って茎の根元から葉を切り落とし、その後、親芋から子芋を手で丁寧に切り離しました。
付着した土を払い落とし、不要な根も取り除きました。

サツマイモについても同様に、表面の土や余分な根を落として整理しました。
作業後、芋は種類ごとにかごや段ボール箱へ分けて入れ、運搬しました。

この時点で、本郷畑で育てていたすべての農作物の収穫が完了しました。
改めて振り返ると、草に埋もれていた夏の畑から、ここまで収穫できる畑になったことがとても嬉しく、利用者と職員みんなで積み重ねてきた時間が無駄じゃなかったと感じました。
実験的だった本郷畑の取り組みでしたが、今回の収穫を終えて、やってみて本当によかったと感じています。
収穫物を軽トラックに積み込み、次はチビ畑に移動しました。
チビ畑では、九条ネギの仮植えと定植、そして芋洗いを行いました。
九条ネギを仮植えした理由は、販売用にするためです。
成長点より高く土を被せると枯れやすいため、分岐部の少し下まで土を被せました。
売るときに株を一つずつばらして販売予定です。

残った株ネギ(小さめ)は11月初頭に作った南西の畝に一本ずつ定植しました。
来年の株用で、ばらした時に出る小さいネギもその畝に植えました。
にぎり拳1つ半くらいの深さの穴を掘ってほぐし、ネギを植えて成長点の下辺りまで土を被せ、ネギの周りの土をしっかり押さえました。
ネギの青い部分は成長点から15㎝を残し、植え直しのタイミングでカットしました。
理由は「ネギは生命力が強く、再生を前提にしているため」です。
そのうえで
・作業しやすい
・葉がマルチに触れると傷みやすい
という実務上のメリットがあります。

また里芋とサツマイモは芋洗いを行いました。
芋洗いでは、チビ畑の西側にある小さな用水路の水を堰き止め、一つずつ丁寧に洗っていきました。
里芋は余分な皮を剥く作業もあり、時間がかかりましたが、皆で協力して進めました。

洗い終わった芋はビニールハウスに並べて乾燥させ、これで本郷畑での収穫作業から後処理まで、すべての工程が無事完了しました。
今年の本郷畑は草の勢いが強く、水も十分とは言えない環境の中での栽培となり、苦労の多い一年でした。
それでも、こうして収穫を終え無事に作物を手にできたことは、大きな成果だったと感じています。
今年から始めた実験的な取り組みである本郷畑ですが、この一年の経験から多くの学びを得ることができ、来年の栽培や管理に活かしていきたいと思います。
収穫を終えた畑を眺めながら、今年一年の努力が無駄ではなかったと改めて実感し、心からほっとした一日でした。
なお一斉収穫からわずか2日後の11月13日には、代表がトラクターで本郷畑を耕し、来年に向けた準備を始めていました。

来年は、本郷畑を田んぼとして運用する予定です。